都市計画コンサルティングに関する研究レポート

駅まち空間のあり方について

2007.01.23

近年、駅を中心としたまちづくり議論が活発になされている。
これまでどの先進国も体験したことのない少子高齢化社会を迎えたわが国においては、歩いて暮らせる、歩いて楽しいまちづくりが必須であり、そこにエリアマネジメントの発想は不可欠と考える。
以下は、駅を中心としたまち空間のあり方に関する所感である。

1.課題意識
官民協働による空間整備においては個々の事業上の“秘匿性”及び“調整”が最大の課題要素である。特に民間事業者が“探りあい”をしている状況ではいかなる構想・計画も机上に終わる。

2.必要と考える対策
都市としての利便性・安全安心・環境等の整備は無論であるが、「街の資産価値向上」「民間事業者の収益性増大」を明確に目標として掲げなくてはならない。
その上で「トータルプロデューサーの起用」「マスターデベロップメント方式の採用」が必要と考える。

3.トータルプロデューサー(以下、TP)
個々の開発事業、行政を主に行われる都市機能整備、景観維持・治安向上・賑わい創出等における各種プログラムの企画・実施などについて、トータルなデザインモチーフをキープして事業推進していくためには、トータルで“指揮”をとるプロデューサーの起用が不可欠と考える。

4.マスターデベロッパー(以下、MD)
各事業に個々の自由性がある以上、“調整”には限界を伴う。したがって、当該エリアの事業的リーダーシップを担う、MDの存在が理想である。
MDを中心とした関係者により「マスタープラン」を作成することが重要と考える。
前述のTPはMDとの密な連携が必須となる。
MDは経験豊富な既存の民間事業者が担う場合が想定されるほか、状況に応じ、各事業者による相応の出資によりSPC等を設立するケースも想定される。その場合、街づくりファンド等の併用も可能になると考える。

5.ロードマップ
TP、MDの起用等があったとしても、各事業者の事業推進計画にはタイムラグが発生する。重要な点は、それらを折り込んだロードマップを作成し、常に刷新することである。

6.整備構想段階での関係者の主たる目標と観点
整備構想段階での関係者の主な目標としては、以下が想定される。
  [街]個性あるエリアを形成する(都市間競争に勝つ)
  [民間]事業性を最大に高める(市場需要を反映する)
  [地元行政]安全安心な都市機能を整備する(地元要望を反映する)
また、マスタープラン上明確にすべき主な観点としては、以下が想定される。
  1.都市機能の適正配置について
  2.景観デザインについて
  3.緑化方針・環境保全について
  4.交通安全性の向上について
  5.治安性の向上について
  6.賑わいの創出について

7.街の管理運営
一定の規模を持つ「駅まち空間」の整備は、恐らく“完成”することはなく、常に成長しつづけるものと考える。
ロードマップに沿って徐々に整備・更新される都市機能に応じ、街を適正に管理運営していくためには、TP・MDを軸として、管理運営計画及び同実施組織の確立が重要である。
管理運営には、「事業性を高めるためのオペレーション方策」と、「“街づくり”を主眼とした仕掛けづくり」とがあり、前者はTP・MD、あるいは個々事業者により実施されるものと考えるが、後者はTP・MDを中心とした関係者によりあらたに実施組織を設立することも想定される。

8.想定される検討の流れ
想定される検討の流れは以下の通りである。
  1.街、民間、地元行政(都・区)の主たる目標の確認
  2.検討委員会の設置(渋谷駅付近の関係者を主とした構成)
  3.関係者(委員)の現段階での構想・計画情報の共有
  4.マスタープラン上明確にすべき観点に対する関係者要望の洗い出し
  5.同観点に対する区民要望の洗い出し(アンケート方式)
  6.駅まち空間としての整備のあり方及び計画手法案の整理
  7.ロードマップ(フェーズ1)の作成
  8.今後の推進に関する整理
このうち、上記1.が重要と考える。特に民間事業者に対して、同取り組みが「自身の資産価値向上にとって有利」というメリットを感じさせ、そのモチベーションを高めることが重要である。この点からも、実際に検討委員会を推進するにあたっては、求心力あるキーマン(後にMDとなることも想定)との事前調整が重要である。

担当者名
原 拓也
 
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