都市計画コンサルティングに関する研究レポート

地区・街区レベルでのまちづくりとGIS活用

2009.05.07

(都市計画の現状)
自治体からの依頼により、都市計画地域地区の検討調査業務を行う機会がありました。5年に一度行われる都市計画基礎調査の結果及び別途市民アンケート等の実施により、現状と法律との乖離および都市計画の課題を明らかにし、それに対する都市計画的な対応策を示すというのが通常行う業務の流れです。
基本的には用途地域等の指定の見直しや、最低敷地規模、高度地区についての適用検討などの都市計画法の制度についての検討を行いますが、一方で近年では従来の都市計画法ではカバーしきれない課題も現れてきており、これらについても広くまちづくりの視点から対応策が求められています。
まちづくりに関連する課題で、都市計画法がカバーできない理由として考えられることの一つに、都市計画法による規制が非常にゆるやかなものになっていることが挙げられます。都市計画法自体は都市の広い範囲においての規制を行うといったものであり、踏みこんだ制限を行うのはなかなか難しいのです。
今回も、関係者間でそれらについての問題意識があり、都市計画法の制度に限らず広くまちづくりの課題についての対策を探ることとなりました。

(都市計画法の限界と地区・街区レベルでのまちづくり)
この課題への対応として、従来の都市計画で捉えていたものより小さい地区・街区レベルで制定できるルール策定を提示しました。この考えにより、全市的な検討を行いつつ、特定の地区・街区を絞っての検討も行いました。具体的には既存の地区計画制度や建築基準法の連担制度など、まちづくり条例・まちづくり組織による地域管理等の適用です。これらは都市計画法がカバーできない地域における個別課題への対応として、それぞれ試行錯誤が行われているものです。
これらの手法は、実現にあたって、地域に固有の制度設計作業と住民間の合意形成作業において困難を伴い、この点で専門家によるサポートが求められています。実効性のあるサポートのために、ひとつでもふたつでも解決のための技術を提示することが専門家に必要なスキルです。

(GIS等による地理空間情報活用の可能性)
 地区・街区レベルのまちづくりでは、比較的小さい範囲で考えることも多く、検討にあたっては小さいながらも具体的で詳細な街区、既存建物の状況の把握が必要となります。
 このような計画にあたってのサポート技術のひとつとしてGISの活用が考えられます。これは少ない労力で、検討結果を視覚的に分かりやすく表現でき、また客観的な数値での根拠を明確にできるなどの利点があります。今回は依頼主の自治体がGISに先進的に取り組んでいることもあってGISでの処理を行うに当り十分なデータが存在し、これらを用いてより具体的な検証を行い、分かりやすく整理することが出来ました。
 GISについては今回の業務で扱うまでは多少さわったことがあるくらいで、それまでのイメージとしては、アプリケーションが高額であることと、一般的に扱えるデータが少なく、商用のものはライセンス料が高額なこともあり、少し扱いにくいと思っていました。
 今回あらためてGISでの作業を行い、ソフトの扱い方と情報の入手について随分容易になったという感覚を持ちました。ソフトについてはオープンソースであっても能力的にも申し分ないものがWebサイト上で簡単に入手できるようになっていましたし、また、国の行政機関が所有していたデータの多くが簡単に入手できます。

 基礎的調査が主であった今回の業務以外でも、使いようによってはまちづくりのサポートの強力なツールになるでしょう。GISによってわがまちの状況を科学的な数値で捉えることができ、ルール策定の際の客観的な判断材料としての利用が考えられます。また、最終的なまちのかたちを3次的により正確に表現することも、今までにも増して手軽に行えます。空間解析以外でも、今回行った市民アンケートの変わりにWebマッピングによる地域マップ作成を普段から行っておくことでも地域の実態把握には有効です。なによりこれらの作業を限られた費用のなかで最大限行えることが一番のメリットでしょう。
 実際の業務を行う上で、扱いうる地理空間情報のindexをまちづくりの視点から整理しており、近々アップできればと考えています。また、GIS等を利用した具体的な業務についても準備が出来次第、報告していければと思います。

以上

担当者名
藤村
 

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