都市計画コンサルティングに関する研究レポート

鎌ケ谷駅周辺地区におけるエリアマネジメント業務の展開

2009.06.27

鎌ケ谷のまちづくりに関してはこれまでもいくつかのレポートをアップして参りましたが、今回は「エリアマネジメント」という観点で現在行っている主な活動内容を整理してみました。

なお、ここで述べるエリアマネジメントとは、国交省土地・水資源局が平成20年3月にまとめた「エリアマネジメント推進マニュアル」による以下の定義に基づいています。
◆エリアマネジメントの定義:地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/03/030425_.html

また、鎌ケ谷における主な活動内容の分類には、小林重敬先生の著書『都市計画はどう変わるか』のBIDに以下の関する記載部を参考とさせていただきました。
◆(BIDとは)主に商業、業務地区で、資産所有者、事業者が、地域の発展や再生をめざして必要な事業を行うための組織化と財源調達を進める仕組みであり、以下のようなことを行う。
1.公共空間の維持管理  2.イベントの実施 3.デザインコントロール 4.テナントミックス 等

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(以下の分類整理は、本頁末尾に添付したPDFで、ビジュアルにまとめております。適宜参考として下さい。)

鎌ケ谷における主な活動内容は次の通りです。

kamagaya_AM_Image01
分類1「公共空間の維持管理」
【活動A】駅前広場管理業務
 ⇒仕組み:市からの委託及び地区内居住者が負担する「景観維持費」

分類2「イベントの実施」
【活動B】年末イルミネーションイベント
 ⇒仕組み:市後援、地元小中高校との連携
【活動C】夏祭り
 ⇒仕組み:自治会、商店街と共催
【活動D】コンサート
 ⇒仕組み:私企業協賛方式
【活動E】寄席
 ⇒仕組み:自治会や商店関係有志で主催

分類3「デザインコントロール」
【活動F】複数の駅前街区開発に介入(対地権者)
 ⇒仕組み:隣接ビルとのデザイン同調、公共的空間の創出
【活動G】駅前広場公共施設整備に提案(対市)
 ⇒仕組み:民地開発ビルとのデザイン同調

分類4「テナントミックス」
【活動H】開発された駅前ビル商業床を一括賃借
 ⇒仕組み:貸主の立場でテナントコントロール

分類5「その他」
【活動I】西口歩行者優先道路化の推進
 ⇒仕組み:国交省くらしのみちゾーン登録

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平成12年にNPO法人設立後、これまで、上記の通り、比較的バランスのとれた取組み・活動を継続実施してきましたが、我々に不足している(この地区に不足している)大きな要素は「成果の検証」です。
これはつまり、エリアマネジメントに最も必要なPDCAサイクルの欠如であり、大きな課題です。
しかしそこには、「現場の事情」が大きく関わっています。全国のまちづくり組織にも似た状況があるのではないでしょうか。
以下にまとめます。

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自己分析1:不足している点
◆「関係者による成果検証」が不足している。
 関係組織で議論する際にも、「成果検証」結果が不足しているため、活動の質の向上に支障をきたしている可能性がある。(関係者は質的向上は図れている、と思っているが、成果検証により、更に向上できる可能性がある。)
 また、行政や協賛企業にとっても、「成果」が具体ではないため、支援根拠を明確にできない。

自己分析2:「成果検証」が不足している直接的な理由
◆実施までに、関係者がエネルギーを使い果たしてしまっている。
◆実施に携わる人物らが、成果のとりまとめや検証を怠っている。
◆実施に携わる人物らに、成果のとりまとめや検証を行う能力が不足している。
◆実施後に、次の実施や他の業務に追われてしまう。(したい、できるが、行えない)

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つまり、簡単に言えば「現場にヒト、能力が足りない」のである。
筆者が知る限り、エリアマネジメントにおける「成果検証」は、実施に携わる組織・ヒト自身が行うべきと言われている。確かに、アンケート等を取る場合には、自ら「生の声」を聞く効果は絶大である。
しかし、多くの「ヒト、能力が足りない」現場においては、それは難しい。

筆者は、この「成果検証」には、地区外の協力者、具体的には「大学等の学生」に関わって頂くのがベストではないか、と考えている。
近年まちづくり、特にNPO法人の活動に協力したいと申し出る学生は増えている。
しかし現場において彼らと共同作業を行うためには、少なからず“労力”を要する。彼らの技能も使える時間も千差万別であるため、既存事業の準備や実施に組み入れるために、組織のキーマンは多くの時間を費やす必要がある。たいていの場合、結局はプリミティブな作業を充てることが多く、学生のモチベーションも満足感も上がらない。

これに対して、もし「成果検証」自身を学生チームに任せてしまえば、両者共にハッピーではないか。
評価・検証方法の企画から、実施、分析・報告まで行うことは、現役の学生にとってもさほど難しいことではないだろう。PCスキルを要することが多いという点では、高齢者が多いまちづくりの関係者より、むしろ適任である。無論やりがいもあるだろうし、短期間に当該事業を知る手段にもなる。場合によっては卒論等にも生かせる。

鎌ケ谷でもこの考え方に基づいて、近い将来、協力してくれている学生達に、「成果検証」を任せてみたいと考えている。

なお、ついでに言えば、「実施」「成果検証」の他にもう一つ「議論・計画」という機能があり、それが「エリアマネジメントのトライアングル・バランス」ではないかと思っている。
この点については、次回にまとめてみたい。



PDFkamagaya_AM2009.pdf(365KB)

担当者名
原 拓也
 
再開発等促進区を定める地区計画における調査・協議業務、不動産関連市場分析、医療施設関係市場分析等の調査業務を主担当する一方、土地活用を軸としたまちづくりの推進業務をライフワークと定めています。
平成17年度国土交通大臣賞を受賞した「鎌ヶ谷駅東口プロジェクト」の中核組織である、まちづくりNPO法人KAOの会では、自身も事務局長補佐に就き、まちづくり活動の現場に従事しています。
>>詳細はこちら

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