都市計画コンサルティングに関する研究レポート

エリアマネジメントにおけるトライアングル・バランス

2009.07.13

前回のレポート「鎌ケ谷駅周辺地区におけるエリアマネジメント業務の展開」に続いて、人材やスキルが不足しがちなまちづくりの現場において、持続的・発展的に活動を継続していくための、人材配置のバランスについて、論じてみたいと思います。

これまで述べてきた通り、鎌ケ谷におけるこれまで約10年間の取組みは、小規模ながらもエリアマネジメントの実績と言える、一定の成果を挙げてきました。しかしながら、その「成果検証」が不足しているという、極めて大きな課題を有しています。
この点に対して、前回のレポートでは「成果検証」に、各種事業の「実施」チームではなく、大学等の学生らによる別チームを編成し、あたらせることで、その不足を補いたいと述べました。これについては、2009年冬のイベントから行ってみたいと考えています。

このようにあえて「実施」チームと「成果検証」チームとを分けることで、現場の人材不足の解決と能力の適所配置とが同時に図れるのではないかと期待していますが、PDCAサイクルとしてみれば、これらは「Do」と「Check」の機能整理をしたのみであり、「Plan(計画)」と「Act(改善)」が足りません。
そこで本論では、PlanとActを「議論・計画」と一つにまとめてしまい、「実施」と「成果検証」との三角形にしてみたいと思います。
つまり、
・Producer(議論・計画)機能
・Player(実施)機能
・Analyzer(成果検証)機能
の三角形です。

triangle.jpg
ここで「成果検証」を学生チームに任せる話に戻りますが、高齢者が主体の鎌ケ谷のまちづくりの場合、「議論・計画」は、ごく2~3人のキーマン(もっと言えばほとんど一人のキーマンが主導)により行われており、多くの協力者は「実施」段階への参加です。
鎌ケ谷で「成果検証」チームが有益な仕事を成し遂げたとして、それを活かすも殺すも、この「議論・計画」機能次第…。つまり、受け取る側の機能が充実していなければ「あっそうですか」で終わってしまいます。
PDCAサイクルでも「Act(改善)」が最も重要で且つ困難な所以です。

そこで、「議論・計画」機能の充実化も併せて必要だと考えています。
噛み砕いて言えば、「会議の充実化」「ファシリテーター機能の充実化」です。

Analyzer(成果検証)チームの報告を、あますところなく議論に用い、Player(実施)チームの現実的な限界なども踏まえた内容の濃い議論を進め、実現可能な計画へと落とし込む…。そしてそれら議論過程を記録し、ストックしておく…。
その「会議進行機能(ファシリテーター機能)」は、できれば、まちづくりのキーマンとは別に立てるべきと考えます。
まちづくりのキーマンとなっている人物は、多くの場合、優れた能力と先見性を有していますが、成果検証チームの検証結果を受けて改善計画を議論する場においては、一参加者となるほうが良いと考えます。少なくとも気キーマンが会議進行役を担っているのでは、活動の発展は、キーマン自身の限界とイコールとなってしまいます。

したがって、この三角形が整形に保たれることが重要であり、エリアマネジメントの「トライアングルバランス」が崩れていては、「活動・取組みの発展」や「力ある持続」は不可能、と考えています。

鎌ケ谷ではこの「仮説」に基づいて、今後取組みを推進してみたいと思っている次第です。



PDFtriangle2009.pdf(117KB)

担当者名
原 拓也
 
再開発等促進区を定める地区計画における調査・協議業務、不動産関連市場分析、医療施設関係市場分析等の調査業務を主担当する一方、土地活用を軸としたまちづくりの推進業務をライフワークと定めています。
平成17年度国土交通大臣賞を受賞した「鎌ヶ谷駅東口プロジェクト」の中核組織である、まちづくりNPO法人KAOの会では、自身も事務局長補佐に就き、まちづくり活動の現場に従事しています。
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