建設コンサルティングに関する研究レポート

地域優良賃貸住宅制度による企業社宅の再整備 (既存の企業社宅をターゲットとした民間資金活用による人口流出抑制策)

2020.08.04

地方都市では、公営住宅や民営の借家の設置率が低く、若い世代が生活に便利な近隣市町村に移り住むこと等から、定住人口が年々減少する傾向にあります。
このような状況を踏まえ、近い将来閉鎖が予定されている企業社宅を、定住化促進のために地域優良賃貸住宅として建て替え整備するにあたり、地方公共団体の行政負荷を軽減する観点から、官民連携手法の導入について調査研究をしました。

本研究においては、社宅を所有する民間企業、地方公共団体、公民連携事業を想定した場合のSPC(民間事業者)の3者による事業となります。
社宅を所有する民間企業のメリットとしては、初期投資なしで老朽化した企業社宅を建替えることができます。
地方公共団体のメリットとしては、実質初期投資なしで社宅の廃止に伴う人口流出抑制や子育て世代等の受け皿を整備できます。

この事業化のポイントとして、「定期借地権事業」「国庫補助(検討・整備・家賃)」、「PFI事業 BTO方式」があげられます。
①定期借地権事業
定期借地権とは、借地期間の更新がない借地権の総称です。民間企業から賃借した土地に公営住宅を建設することから、公営住宅整備のための土地の取得が不要です。土地を貸与する民間企業にとっては、契約期間の満了時には更地に戻して返還されるため、土地を手放すことなく、契約期間中の安定した地代収入を得ることができるとともに、初期投資がなく社宅を確保することができます。
②国庫補助
施設整備に係る補助制度「地域優良賃貸住宅制度」をはじめ、基本構想の検討に対する「公営住宅に係るPPP/PFI導入推進事業」、家賃に対する「公的賃貸住宅家賃低廉制度」等があります。
③PFI事業 BTO方式
土地は地方公共団体が民間企業から定期借地します。建物は地方公共団体が民間企業から既存建物の無償譲渡を受けた上で、解体・新設の施設整備と維持管理・運営を一括してSPC(民間事業者)に発注します。PFI事業による地域優良賃貸住宅の整備は、全国に28事例あります(令和元年12月末時点)。

今後は、社宅を所有する民間企業及び地方公共団体に対する具体的な提案を目指して、調査研究していきたいと考えます。

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